無事術後8年目を迎え、定期検診を終えて出てきた乳腺外科のカウンターに貸出し図書として置いてあった本の題名は「乳がんって遺伝するの?」
アンジェリーナ・ジョリーが罹患前に予防的切除をして有名になったとは言え、海の向こうの話。アメリカはススんでるなぁ、位の捉え方だったのに、大学病院の受付カウンターに置くんだ…と思い、(しかも3冊も!)手に取ってみました。
が、その見出しに並ぶ文字は、自分の乳がんに対する認識の浅さを痛感させるものでした。
遺伝性乳がんの特徴
乳がん(+卵巣がん)の全症例のうち、5~10%が遺伝性であるといわれ、
BRCA1、BRCA2 というがん抑制遺伝子の変異が原因。・40歳以下の若年で乳がんを発症する。
・両側の乳房または片方の乳房に、複数の乳がんが発症する。
・乳がんだけでなく卵巣がんも発症。
・男性乳がんの発症。
・すい臓がんや前立腺がんを発症することがある。
以上の項目がひとつでもあてはまると、遺伝性である可能性があります…
なんとシンプルで簡潔な表現…
卵巣がんは一般の人より発症する可能性が15〜40倍も高くなるとのこと…
遺伝性の乳がんに関与する遺伝子
・TP53遺伝子
TP53遺伝子に変異があると、乳がん、軟部組織腫瘍、白血病、骨肉腫、悪性黒色腫、大腸がん、すい臓がん、副腎皮質がん、脳腫瘍が発症する可能性が高く、これをリ・フラウメニ症候群という。・PTEN遺伝子
PTEN遺伝子に変異があると、乳がんや過誤腫(甲状腺、乳腺、子宮内膜、皮膚などの、腫瘍と気系の中間的病変)が発症する可能性が高くなる。これをカウデン症候群という。ほかに大腸がんや子宮体がん、胃がん、卵巣がんなどが発症する可能性が高くなるリンチ症候群というものもある。
また、TP53遺伝子に変異がある人は放射線感受性も高く、マンモグラフィや放射線治療で2次がんを誘発する恐れもあるとのこと…ウワサだと思っていたのはどうやら本当のようです…
遺伝性乳がん・卵巣がんを疑う人の特徴
・若年性乳がん(45歳以下が目安)
・トリプルネガティブタイプの乳がん。
・2カ所の原発性乳がん。
・卵巣がん(卵管がん、原発性腹膜がん)。
・男性乳がん。
・50歳以下で乳がんを発症した血縁者が一人以上いる。
・卵巣がんを発症した血縁者が一人以上いる。
・乳がんもしくはすい臓がんを発症した血縁者が二人以上いる。
45歳で若年性って、??ですが…
ここで乳がんのサブタイプについて、初めてその重要性を認識した次第です。
乳がんサブタイプ
・ルミナルAタイプ…ホルモン受容体陽性、HER2陰性、Ki-67が低いタイプ。
・ルミナルBタイプ(HER2陰性)…ホルモン受容体陽性、HER2陰性、Ki-67が高いタイプ。
・ルミナルBタイプ(HER2陽性)…ホルモン受容体もHER2も陽性のタイプ。
・HER2エンリッチドタイプ…ホルモン受容体が陰性、HER2が陽性のタイプ。
・トリプルネガティブタイプ…ホルモン受容体もHER2も陰性のタイプ。
日本人の乳がんの約60%はルミナルAタイプで、トリプルネガティブだと遺伝性、というわけではないそうですが、一般の乳がんより割合が多いのだそうです。
今回私は、改めてホルモン受容体3つの分類と基準値、「がんの顔つき」について検索して理解しました。私が生検結果を聞いた当時は、詳細な専門用語で構成された報告書のコピーは貰いましたが、ER,PgR, HER2に関しては手術した際の病理組織検査で初めて口頭で言われ、「普通のがんでした」で終わった気が…私自身も、もう前しか見ていなかったので、あまり細かいことは気にしていませんでした。何しろ、抗がん剤治療も済んで、原発巣も取ってしまった後ですから、HER2が陽性だと進行が早い分、分子標的薬がよく効く、という知識があったくらいで、それ以外は正直まったく気にしていませんでした。というか、怖くて少しでも早く病院から離れたくて、自分にとって最低限の情報以外はシャットアウトしていました。
乳がんのホルモン受容体について教えてください
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12119160002
私の乳がんが初めてわかった時より、治療法も進歩しているとは思うのですが、
遺伝子を調べることでここまでわかるようになっていたのですね…
「がんは生活習慣病」だと思ってきましたが、確実に違う面もあると、再認識した次第です。
私自身は、実の父の家系が心臓が弱く、
父の妹は40台前半、父の兄は50台半ばでいずれも心臓発作で他界、
父も心房細動で68歳で亡くなっているので、
確実にその血を引いていると思われるため、
「好きなことは早めに」がモットー。
毎日を大切に生きたいと思っています。